面接が終わって駅に向かう。歩きながら聞かれたことを思い出して、あの答え方でよかったのかと考える。

でも、その会社が実際どういうところなのかは受ける前とほとんど変わっていません。会社の話をされた記憶はあるのに、自分がそこで何をするのかはぼんやりしたまま。面接というのは不思議なもので、こちらが説明で埋め尽くされて終わることがあります。

私は面接する側として約500人に会ってきました。こちらが候補者を見ている間、会社の状態も同じくらい出ています。最後の「何か質問はありますか」だけが会社を見る時間ではなく、日程が組まれる前からもう見えています。

面接の組まれ方に、その会社の余裕が出る

日程の候補をいくつか出したのに何日待っても返事が来ない。ようやく決まったと思ったら直前で時間が変わる。これは評価の話ではありません。

結果や連絡が遅いとき、社内では決裁が止まっているだけということがよくあります。採用担当だけで決められない話だと確認する相手が増えるので日数はふつうに伸びますし、そこに人が休んだり別の案件が挟まったりすると平気で1週間飛びます(この事情は選考結果が遅い理由の記事に工程で書きました)。続くようなら、人手が足りないのか採用の優先順位が低いのか、頭の片隅に入れておいていいです。

求人票は人事がゼロから自由に書くものではありません。経営や現場から「こういう人がほしい」と注文が来て、それを仕事内容や必要な経験に分解して文章にします。この分解をサボると「主体性のある方」「コミュニケーション能力が高い方」みたいな言葉が並ぶ。練度がそのまま出るんです。その練度は、面接の質問に露骨に出てきます。

何をやってきたかだけでなく、その仕事で何を担当してどう進めたのかまで聞いてくる面接と、人柄の印象だけで進む面接では、同じ1時間でも中身が全然違います。

面接官が求人票を読んでいないなと感じることもあります。そのときは募集の中身が社内でまだ揃っていない場合があります。これはこちらの落ち度ではなく社内の準備不足ですが、その状態で採られた人が入社後に「聞いていた仕事と違う」と言うのは、私が何度か見てきた流れでもあります。

誰が出てくるかで、見られている場所が変わる

二次面接で、一次とほとんど同じことを聞かれる。さっきも答えたのにと思いながらもう一度話す。無駄なようですが、聞いている人が違えば確かめたいことも違います。

部門の人が聞くなら、その仕事を任せて事業を前に進められるかという実力面。人事が聞くなら、入社後に活躍できそうか長く続けられそうかというところ。同じ「これまで何をしてきましたか」でも、部門は判断の中身を知りたがりますし、人事はその仕事を選んだ理由のほうを見ています。段階ごとの立場の違いは一次・二次・最終の記事に整理しました。

面接で「誰が出てくるか」から読めること

出てくる人 現場のマネージャー 一緒に働く同僚クラス 人事のみ(最後まで) 役員・経営 こちら側が取れる情報 仕事の中身、進め方、任される範囲 実際の1日、チームの空気 誰と働くのかが分からないまま決めることになる 会社が今どこに向かっているか

最後まで人事しか出てこず、一緒に働く人に一度も会わないまま進む選考もあります。誰と働くのかを知らないまま入社を決めることになるので、そういう選考では「現場の人と一度話させてください」と頼んでいいです。これは通ります。

現場の人が出てくるなら、その時間は仕事の中身を確かめる機会です。この仕事では何を担当するのか。実際はどんな人と進めるのか。求人票では読み取れない部分が出てきます。あと、面接官が全員うまいわけではなく、質問が分かりにくい人もいれば話が整理されていない人もいる。それだけで会社を判断しなくていいです。

向こうが何を確かめにくるかで、こちらも読める

ひとつの経験について話していると、そのとき何を考えたのかを聞かれる。答えると、なぜそう判断したのかと聞かれる。また別の角度から来る。「この人、何を確かめてるんだろう」と思い始めたら、それは再現性を見られているサインです。

採用側が見ているのは大きく3つ。求人票の要件にスキルと経験が合うか。人となりや志向性、ストレス耐性といった人物タイプ。そして課題を見つけ、解決策を設計し、実行して周りを動かせるかというビジネススキルです(評価シートの中身は面接官の視点の記事に書きました)。環境が変わっても同じように成果を出せそうかを見ているということです。

転職理由や会社選びの軸を何度も確認してくる会社は、定着を気にしています。人事はリスクを嫌うので、長く働けそうかをしつこく確かめる。同じことを一次でも二次でも最終でも聞かれて、疑われている気分になることもあると思います。しんどいですよね。ただ、噛み合わせを丁寧にやっているということでもあります。

逆に、こちらの経験をほとんど確認しないまま話が早く進むこともあります。急いで採りたい事情があるのか、求める人物像が固まっていないのか、どちらもあり得るので、早いなと感じたら面接で急いでいる理由を一度確認してみていいです。

「急募」と書かれている求人には、社内にそれぞれの事情があります。欠員が出たのか、事業が動いて増員が決まったのか。どちらでも構わないのですが、面接で急いでいる理由を説明してもらえるかどうかは見ておいていいです。説明できる会社は、社内で募集の背景が共有されています。説明が曖昧なまま日程だけ前倒しになる会社は、入ってから仕事の中身が変わる可能性を少し高めに見ておく、そのくらいの感覚で十分です。

確認が丁寧な会社ほど選考は長くなります。何度も同じ説明をするのは正直しんどい。それでも、入社してから話が違ったとなって早く辞めることになるよりは、認識を先に合わせておくほうが噛み合いやすいです。

向こうが何を確かめにきているかは、面接官チェック項目に項目として並べてあります。会社を見る材料と裏表なので、両方見ると読み違いが減ります。

その日の印象で決めない

面接から帰って、この会社は合わないかもしれないと考える。思い返しても引っかかったのは面接官ひとりの言い方くらいで、それでも残る。面接官も慣れている人ばかりではありませんし、その日が忙しくて余裕がないこともある。ひとりの印象だけで会社全体を判断すると外れます。

気になったことは次の面接で聞いてください。エージェントが間に入っているなら、直接は聞きにくいことを確認してもらう手もあります。内定後のオファー面談で聞く方法もある。承諾前なら確認していいです(オファー面談での確認項目はこの記事にまとめました)。私も面接する側にいましたが、確認の質問が来たこと自体で評価を下げたことはありません。むしろ、何も聞かずに帰る人のほうが、この会社で何をしたいのかが最後まで見えないまま終わります。

結論を急ぐ必要はありません。求人票やネットの評判と並べて、食い違ったところだけ次に聞く。それで足ります。

面接で見えた会社の姿と、働いていた人の声を突き合わせるなら、社員口コミを原文で読んでおくのが早いです。

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