結論から書きます。職務経歴書の経歴は、古い順に並べれば正解、新しい順なら正解と決めるより、採用側が短い時間で今の経験を確認できる順番にした方が読みやすくなります。
職歴を古いものから順に書く形は「編年体式」、新しいものから書く形は「逆編年体式」、職種や経験ごとにまとめる形は「キャリア式」と呼ばれることがあります。ただ、この記事では呼び方を覚えることより、どの順番なら自分の経験が伝わるかを考えます。
私は転職エージェントを5年、人事を3年、人事コンサルを3年経験してきました。人事として面接した人は約500人、エージェントとして面談した求職者は3,000人超で、応募書類は数千枚読んでいます。その経験から言うと、並べる順番を決めるときに考えたいのは、採用側が最初にどこを見るかです。
古い順か新しい順かで迷ったら、直近の経験を先に確認できるかを考える
職務経歴書を書いていると、最初の会社から順番に書くか、今の会社からさかのぼって書くかで手が止まることがあります。
採用側で書類を読んでいたとき、応募が多い求人では1通に数十秒しか使えないことがありました。最初の30秒で確認していた箇所の一つが、直近の職務内容です。
理由は、10年前の実績より直近2〜3年の経験を確認したいからです。採用側が見ているのは、今の応募者が何をできるかです。昔の実績が長く書かれていると、現在の経験を確認するまでに時間がかかります。昔の実績ばかりが長い書類は、かえって不安になることもありました。
そのため、新しい経歴から書く方が、直近の経験を早く読んでもらいやすい場合があります。
新しい順にすれば有利という話ではありません。職務経歴書では在籍期間の並びも見ています。転職回数だけを見るのではなく、毎回2年未満なのか、節目ごとに経験が上がっているのかといったパターンを確認します。
経歴の順番には二つの役割があります。現在の経験を早く伝えることと、これまでの経歴がどう続いてきたかを読み手が確認できることです。
新しい順に並べるなら、今の仕事から過去へさかのぼっても経歴を追えるようにします。古い順にするなら、直近の経験が後ろにあることを意識して、昔の仕事内容を必要以上に長く書かない方が読みやすくなります。
順番だけを変えても、過去の説明が長く、今の仕事が短ければ、採用側が知りたいところまでなかなか届きません。
経歴が一つの流れで説明しにくいなら、職種や経験でまとめる方法もある
会社ごとに古い順、新しい順と並べる以外に、経験した職種や仕事内容ごとにまとめる書き方もあります。こうした形は「キャリア式」と呼ばれることがあります。
ここで注意したいのは、分類すること自体が目的にならないようにすることです。
採用側が確認したいのは、その人が応募する仕事で何をできるのかです。本人にとっては大きな実績でも、応募する業界や仕事にとってはPRにならないことがあります。
そのため、職種や経験ごとにまとめる場合も、何を先に置くかは応募先を前提に考えます。
自分が経験してきた仕事を全部同じ長さで並べる必要はありません。応募する仕事に関係する経験を読み手が確認しやすい順番になっているかどうかで判断します。
採用側で書類を読んでいて読む気が失せるのは、結論がないまま長々と書き連ねてあるものです。これは文章が上手か下手かだけの問題ではありません。読み手が何を知りたいかを考えて書かれているかで差が出ます。
端的にPRする。結論から書く。受ける業界と会社を前提に内容を決める。この考え方は、経歴を並べるときにも使えます。
職種ごとに整理した結果、応募する仕事との関係が分かりやすくなるなら、その並べ方には意味があります。反対に、分類したことで在籍期間や経験のつながりが確認しにくくなるなら、読み手には負担が増えます。
呼び方に合わせて形を決めるのではなく、自分の経歴のどこを先に読んでもらう必要があるかで決めた方が実際の書類選考には合わせやすくなります。
同じ経歴を3つの形で並べてみる(架空の設定)
以下は架空の設定です。実在の人物・経歴ではありません。前職で営業事務を3年間担当後、現職で採用担当として5年間(在職中)の人が採用担当のポジションに応募する場合で考えます。
並べ方で何が先に読まれるか(架空の設定・採用担当への応募の場合)
採用担当への応募を想定すると、古い順では採用担当の内容に届くまでに営業事務の記載を読む必要があります。新しい順なら採用担当が先に目に入ります。どちらの形でも経歴の流れと在籍期間は確認できますが、採用担当のポジションへの応募なら、直近の経験を冒頭に出す形のほうが短い時間で伝わりやすくなります。
職種や経験でまとめる形(キャリア式)は、職歴が3社以上あり担当してきた仕事の種類が複数に分かれているときに機能しやすくなります。会社が2社の場合は、職種別に分けても採用担当と事務が各1件になるだけで、2社の在籍期間の流れが確認しにくくなることがあります。
順番を決めたら、今の自分を判断できる並びになっているかを確認する
古い順、新しい順、職種や経験ごとにまとめる形のどれを使っても、最後に確認したいことは同じです。
採用側が短い時間で直近の仕事内容を確認できるか。在籍期間の並びを追えるか。応募する仕事に関係する経験が分かりやすい場所にあるか。この観点で見直します。
特に昔の実績が多い人は、書けることが多い分だけ長くなりやすいです。しかし、10年前に大きな実績があったことだけで現在の仕事でも同じ結果を出せるとは判断できません。
採用側で評価するときに見ているのは、実績の大きさだけではなく再現性です。
直近2〜3年で何をしてきたのか。その経験が応募先の仕事とどう関係するのか。過去から現在までの在籍期間にどんなパターンがあるのか。こうした情報を確認できるように並べます。
職務経歴書を書く本人は、自分の経歴をすべて知っています。そのため、古い順に読んでも新しい順に読んでも、自分では内容を理解できます。採用側はその書類を初めて読みます。しかも、応募が多ければ1通に数十秒しか使えないことがあります。
だから、古い順と新しい順のどちらが一般的かだけで決める必要はありません。
直近の経験を先に見せたいなら、新しい経歴から並べる。経歴の流れを順番に確認できるようにしたいなら、古い経歴から並べる。会社単位では自分の経験を整理しにくいなら、職種や経験ごとにまとめる方法もあります。
どの形を選んでも、判断基準は読み手です。今の自分が何をできるのかを短い時間で確認でき、これまでの経歴も追える。その状態になるように順番を決めます。
冒頭に置く職務要約の書き方と、書類が読まれるときに見られている3箇所については、職務経歴書で最初に読まれるのは、冒頭5行の職務要約ですで扱っています。履歴書と職務経歴書のどちらを先に作るかで迷っている場合は、履歴書と職務経歴書の違いを先に読んでください。